ささき

お薬について

抗生物質

最近“風邪に抗生物質は効かない”、ことが周知の事実として受け入れられるようになりました。 抗生物質は細菌感染に対しては非常に有力で、大事な薬であることに変わりはありませんが、 風邪やインフルエンザなどのウイルス感染症には無効です。従来から私たち小児科医は、 できるだけ不要な抗生物質の処方をしないように心がけています。 安易な使用は抗生物質に耐性を持つ病原菌を増やすことになるからです。 処方を適正なものとするため、指先からごく少量の血液を採取して、 感染症の重症度を約5分で判定できる機器や、インフルエンザやアデノウイルス、 溶連菌などの迅速診断キットも使用しています。一方、血液検査などの結果から、重症の感染症の可能性があるお子さんには、 外来での抗生物質静注療法を積極的に行う ことで、肺炎などによる入院をできる限り少なくする努力をしています

解熱剤

“38。5℃をこえたら解熱剤を使う”といった安易な使用や、他の薬と混合された解熱剤を漫然と内服することは、 感染症の治 癒を遅らせることにもなりかねず、なるべく避けてください。 また、総合感冒薬の中には、体内でアスピリン(インフルエンザ脳症のリスクが指摘されている薬剤)様の物質に 変化する成分が含まれているものもありますのでお勧めしていません。 ただ、解熱剤の使用そのものを否定しているわけではありません。高熱のために眠れない、水分摂取ができない、などの場合の使用は有用と考えます。 個々のお子さんの状況に応じて指導させていただきます。高熱の際の基本は冷やすことであり、“部屋を暖かくして厚着させ、汗をかかせて熱を下げる”という対処法はお勧めできません

タミフル

インフルエンザによる高熱や全身倦怠、関節痛などの不快な症状の持続期間を短縮させる薬です。 流行が予想される新型インフルエンザにも効果が期待されています。 ただし、従来型のインフルエンザはタミフルを飲まなくても4-5日我慢すれば治る疾患ですので、 発熱後も比較的元気なお子さんは必ずしもない服の必要はありません。 小児で最も問題となるインフルエンザ脳症という合併症を防ぐ、という科学的根拠は今のところはありません。 “タミフル内服中の患者さんがベランダから飛び降りようとした”などという異常行動が タミフルの副作用ではないかと 問題になっていますが、インフルエンザに罹患した方の異常行動は、 以前からよく知られたことであり、 現時点ではタミフルとの因果関係は低いと考えられています。

授乳中のおかあさんが飲む薬

風邪薬を含め、多くの薬剤は授乳中のお母さんは飲めないことになっています。 内科などでは服薬する際には授乳を中止する、という指導が行われることが多いようです。 しかし、実際にはてんかんの薬など一部の薬剤を除いて、風邪薬や解熱剤、抗生剤など、 ほとんどの薬剤はお子さんに重大な影響は及ぼしません。 お母さんの症状が、育児が困難になるほどのものであれば、服薬してもかまわないのです。 薬の内容が不明で不安な場合、我々小児科医にご相談ください。
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